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もらい事故の被害に遭われたら

梅雨なんてなかったんじゃない?という空模様が続いております。
いよいよ夏本番、レジャーの季節がやって参りました。
家族で遠出をされる機会も増えるシーズンですが、それに伴い増加するのが交通事故です。

中でも今回は、どれだけ安全運転を心がけていても、避ける事が難しい「もらい事故」について
ご紹介致します。

相手方の危険な運転や不注意によって、こちらが被害者となってしまったら、
普通の交通事故とは違う対応をしなくてはならない場合がある事をご存知でしょうか。

万が一に備えて、もらい事故への対応手順をチェックしてみませんか?

もらい事故ってなに?

通常、自動車事故は当事者双方に何らかの過失がある事で起こるとされています。
ですので、解決には「どちらの交通違反なのか、不注意の責任はどちらにどの程度あるのか」が
争点となり、この責任の割合の事を、「過失割合」と言います。
しかし、事故の中には過失割合が100:0である「もらい事故」という事故がある事をご存知でしょうか。

もらい事故の種類について

一般的には、以下の3つが自動車同士の事故でありながら、過失割合が100:0とされています

・赤信号無視(信号無視をした側が100%)
・センターラインオーバー(センターラインを越えた側が100%)
・駐停車中の車への追突(追突した側が100%)

この中でも発生率が特に多いのが駐停車中の車への追突です。

令和2年の全国で発生した全ての自動車事故、26万1209件中、実に9万5220件と、
約3件に1件がもらい事故となっており、かなり多い事故と言えるでしょう。


もらい事故に遭ったらどうしたらいいの?

もらい事故にあった場合の初期対応は一般的な交通事故と同じ手順です。
(下記のリンクをご参照くださいませ。)

特に注意頂きたいのは、「必ず警察を呼ぶ事」「その場で示談に応じない事」です。
損害の程度が軽微であったとしても、必ず警察を呼んで実況見分を行った上で、
保険会社へ事故の受付をお願い致します。その後、相手方との示談交渉が始まる事となります。


示談交渉について

示談交渉とは自動車の交通事故が発生した際、当事者同士で示談交渉を行い、
賠償金額の決定とその支払いについての取り決めの事を言います。
示談の内容が記載された示談書は、法的な効力を持っていますので、示談書で定められた金額が
支払われれば、和解が成立したとされます。

示談交渉に必要なもの

示談交渉では、客観的な判断をするために、事故状況やその事故で発生した費用について
確認できる書類の提出が求められます。
必要な書類は、事故の種類や状況によって異なりますが、以下が主なものです。

●ケガの場合
診断書、診療報酬明細書、領収書等です。
ケガによって休業を余儀なくされた場合等は、収入証明書を求められる場合もございます。

●物損の場合
自動車の修理費用の請求書・見積書、レッカー代や修理時のレンタカー費用の請求書。
他にも警察が作成した交通事故証明書などがあります。

お客様ご自身で示談交渉を行うリスクについて

道路交通法や過去の判例を元に実際の事故と照らし合わせて、双方の過失割合を判断したり、
妥当な賠償額を算定するのは非常に難しく、専門の知識を有していない方が、
ご自身で示談交渉を行うのは非常に困難と言えます。

他にも相手方に示談交渉の主導権を握られてしまうと、お客様の主張があまり反映されないまま
示談が成立してしまう可能性があります。
更には、相手方とのやり取りの中で生まれたそれぞれの悪感情が、示談交渉を妨げる恐れがあります。

それらのご負担を軽減する為に、原則、自動車保険には示談交渉サービスが自動付帯しています。

示談交渉サービスについて

示談交渉サービスとは、その名の通り、契約者に代わって保険会社の担当者や代理店担当者が示談交渉を代行するものです。
お客様より必要書類の提出や事故状況をお伝え頂けば、代理店担当者ないしは保険会社が、相手方と示談交渉を行います。

したがって、お客様の時間や労力を削減するだけでなく、お客様ご自身で対応するよりも交渉が
スムーズにまとまりやすい事や、法律に照らし合わせた際に、賠償金額の適切な支払い・受け取りを実現し易くなります。

もらい事故では示談交渉サービスが使えない?

前項でご説明した示談交渉サービスですが、ご利用には「ある要件」を満たして頂く必要があり、
実は、もらい事故では示談交渉サービスをご利用頂く事が出来ません。

その要件とは「自動車保険の契約者に過失がある」という事。

契約者に賠償金を支払う必要のある事故でなければ、保険会社が「損害賠償金の支払者」となる事が出来ません。
損害賠償を支払う必要がないケースでは、事故の当事者として示談に参加することが出来ず、
お客様に責任の無い、もらい事故の場合は相手方への賠償責任が生じない為、保険会社が示談交渉を代行すると、弁護士法・第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反となる事から、
お客様ご自身で相手方と示談交渉を行って頂く必要があります。

弁護士費用特約とは

そんな時に役立つのが「弁護士費用特約」です。
自動車事故で被害者になった場合の、お怪我やモノ(車や手荷物等)の損害に対する賠償請求を、
弁護士に委任する際にかかる弁護士費用や、法律相談費用等に対して保険金をお支払いする物です。

弁護士費用特約の特徴

「歩行中に自動車にはねられた」「自宅に自動車が突っ込んだ」等、
自動車を原因とした被害事故に広く対応できるのが弁護士費用特約の特徴です。
個人名義で複数のお車をお持ちの方は、いずれか1台に付けておくと、全てのお車をカバーする事が可能です。また、万一の時に使用されても翌年の適用等級に影響がありません。

自動車事故以外にも使える?

保険会社によっては日常生活上の事故にも対応する弁護士費用特約が販売されております。
「歩行中に自転車にはねられた」や「マンションの上階からの水漏れが原因で自身の所有物が汚損・破損した」等の対人対物事故、他にも「SNS上での誹謗中傷による精神的苦痛」や
「ストーカーや痴漢行為の被害による精神的苦痛」等まで幅広く補償が出来る物もあるようです。
是非一度、ご加入中の弁護士費用特約の適用範囲をご確認されてみては如何でしょうか。

最後に

もらい事故は、全責任が相手方にあるとは言え、必ずしも事故解決がスムーズに進むという訳ではありません。
なかなか示談に応じなかったり、相手が任意保険に加入しておらず賠償金が支払われない等の
トラブルに見舞われる可能性もないとは言い切れません。
もらい事故に限らず、積極的にお客様をお護りする為の弁護士費用特約、是非この機会にお見直しください。