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「がん」を考える① ~がんってなに?編~

2月4日は世界対がんデーという事で、知っているようで案外知らない「がん」という病気や
最新の治療法・検査法、がん保険の選び方や、今後のがん保険の変化について、わかりやすくご説明します。
シリーズ第一回目は、がんという病気の基礎知識と、最新の検査方法等についてご案内します。

●はじめに

2月4日は世界対がんデー(ワールドキャンサーデー)です。
2000年2月4日に国際対がん連合(UICC)がフランス・パリで行った、世界がんサミットから始まったキャンペーンで、がんに関する意識を高め、行動を起こす日とされています。

今回のテーマは「Close the Care Gap!」(がん医療のギャップを埋めよう)ということで、
新型コロナウイルス感染症の蔓延による検診控えや、がん患者の医療選択など、
がんに対する様々な困難に立ち向かう事を掲げています。

私たちも微力ながら、「Close the Care Gap!」に取り組むべく、
がんについての情報提供を行って参りたいと思います。


リンク:ワールドキャンサーデー Close the care gap - UICC日本委員会

●そもそも「がん」ってなんでしょう?

人体は約40兆個の細胞で出来ており、細胞は常に分裂する事で新しく生まれ変わっています。
細胞分裂は遺伝子をコピーする事で新しい細胞に置き換わりますが、コピーミスが発生してしまうと細胞のコントロールを失ってしまう事があり「がん」発生の原因となります。

この、がんのモトとなるコピーミス細胞は、普通、体内の免疫細胞の標的となり、攻撃されて死滅します。

健康な人でも1日約5,000個のコピーミスが起こっているといわれておりますので、
気づかないだけで、実は私の身体にもあなたの身体にも毎日コピーミスが起こっています。

ところが、免疫細胞の攻撃を逃れて生き残る細胞が存在し、それらが「がん細胞」となります。
その後、無秩序に分裂・増殖をくり返し、10~20年かけて「がん」の状態になります。

がんってどこにできるの?

がんは、全身のあらゆる場所に発生します。
肺や胃、肝臓や膵臓といった内臓や、血液や骨、皮膚などに出来るがんもあります。
実は「脳腫瘍や「白血病」なども、がんの仲間です。

がんの原因って?遺伝するの?

最近の様々な研究から、がんはどうやら予防出来るという事が解ってきました。
皆さんも「がん家系」といったワードを耳にされた事もあるかと思いますが、
現在では遺伝よりも生活習慣による影響が大きいと考えられています。

既にご存じだと思いますが、生活習慣のなかでも、特に危険なのは喫煙です。
喫煙は肺がんだけではなく、食道がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がんなど、多くのがんのリスクを高める上に、タバコの副流煙による受動喫煙は、タバコを吸わない人にも肺がんなどの健康被害をもたらす事が解っています。

食生活による要因としては、塩分過多は胃、野菜・果物不足は消化器系や肺、
熱過ぎる飲食物の定期的な摂取は食道のがんリスクを高めるとされています。
近年、増加傾向の大腸がんや乳がんなどは、食生活の欧米化が影響しているとされ、
動物性食品への偏りも危険因子と考えられます。
また、多量の飲酒は食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんなどのリスクを高める事が判明しています。

●がんってどうやって見つけるの?

がんは、あらゆる病気の中で最も死亡率の高い病気で、長年日本人の死因第1位を占めています。
日本人の二人に一人ががんに罹患し、三人に一人ががんが原因で死亡しています。

がんに罹患した際、初期には自覚症状がない事ほとんど。
健診などで発見されることが多く、発見されたときにはすでに進行していたというケースも少なくありません。

ですが、現在は検査法や治療法が進み、早期に発見・治療すれば「がんは治せる病気」になっています。その為には、健診やがん検診を定期的に受けることが重要です。

胃がん・肺がんのX線検査、大腸がんの便潜血、喀痰(かくたん)検査※は、科学的に有効であるとして厚生労働省が推奨するがん検診です。
残念ながら、2019年度国民生活基礎調査では国が推奨しているがん検診受診率には到達しておりませんが、40歳以上の方は、年1回受診するように心がけましょう。

※喀痰検査(かくたんけんさ)とは、咳をした際にでる痰を採取し、その中に含まれる細菌を調べる検査です。
痰は呼吸器系の粘膜からしみ出る分泌物で、その成分には、肺や気管支、咽喉頭(いんこうとう)等、気道からはがれた細胞も含まれている為、細胞に異常があったり、細菌、ウイルス、血液成分が混じっていないかを検査する事で、主に肺がん、肺結核、細菌性肺炎、非細菌性肺炎(マイコプラズマなど)、肺真菌症、気管支炎等の疾病の有無が確認出来ます。


リンク:厚生労働省 2019年度国民生活基礎調査 P.9

がん検査の最前線

前項では代表的ながん検診についてお伝えして参りました。
これらのがん検診は医療機関で行う必要がありましたが、2020年、遂に自宅でもがん検診が行える時代に突入しました。

2015年3月に九州大学の助教授だった広津崇亮(ひろつ・たかあき)さんが
「線虫が、非常に高い精度でがん患者の尿の匂いを嗅ぎ当てる」という論文を発表し、米科学誌に掲載されました。

この発表は非常に大きな反響を得、広津さんは2016年に株式会社HIROTSUバイオサイエンスとして企業し、線虫による研究は2020年に「N-NOSE(エヌ・ノーズ)」として実用化されました。

線虫とは土壌などに生息する、体調0.3mm~1mmの農作物を枯らすしたり生育不良に陥らせる害虫です。

「犬より優れた嗅覚で、がん患者の尿に含まれる特有のにおいに近づき、健康な人の尿からは逃げる性質を利用して判定する。がん患者1400人に実施した検査では的中率は約85%に上り、特にステージ0~1の患者は87%で判定できた。
一般的ながん検査「腫瘍マーカー」よりかなり高確率という。
反応するのは胃、大腸、肺、乳、膵(すい)臓、肝臓、子宮、前立腺など15種のがん。現時点では検査でがんの部位までは判明しないが、今後は特定も目指す。」
引用元:西日本新聞me「線虫でがん検査、2020年1月に実用化 約85%の確率で特定 九大発のベンチャー企業」

早期発見が肝心要のがんという病気で、ステージ0~1の段階で発見出来、かつ費用が12,500円(公式HPより・2022.02月現在)と非常に安価なのは大変魅力的だと思います。
オフィシャルウェブサイトから取り寄せて自宅で検診、キットを返送するだけという手軽さもあって、より一層の早期発見が期待出来ますね!

医療機関による検診としては2022年2月現在、大阪では3箇所、兵庫県では1箇所、当社事務所より車で5分の笹生病院さんでも受付を行っていますので、気になった方は是非トライしてみてはいかがでしょうか?


●さいごに

まずは第一弾として「がん」という病気について、がんの見つけ方についてを簡単にご説明致しました。

ひと昔前は「がん」というと、不治の病のイメージを持たれる方も多かったかもしれませんが、
医療の進歩は目覚ましく、きちんと知識を身に着けていれば「がんを根治」「がんと共生」する事が可能な世界に近づいています。

次回はがんの治療方法等についてをご案内予定ですので、是非ご覧ください。