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今一度、地震保険。阪神淡路大震災、発生27年によせて

主に阪神間を拠点とし、西宮に事務所を構える我々としては1月17日という日を忘れる事はありません。
震災から27年が経った今日という日だから、皆様に地震保険の大切さをお伝えしたいと思います。

●阪神淡路大震災、その被害について

1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部で、深さ16kmを震源とするマグニチュード7.2の地震が
発生しました。
神戸・洲本で震度6、豊岡・彦根・京都で震度 5、大阪・姫路・和歌山などで震度4が観測され、神戸市の一部の地域等においては、震度7だったそうです。

阪神淡路大震災と名付けられたこの地震は、いわゆる「都市直下型地震」であった為、
甚大な被害をもたらしました。

死者は、発生当時戦後最多となる6,434人、行方不明者は3人、負傷者は43,792人に上り、
689,776棟の建物が被害を受け、被害総額は約10兆円に達しました。
これは、2011年(平成23年)3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に次ぐ被害規模となります。


リンク:阪神・淡路大震災「1.17の記録」

倒壊した建物、燃えた建物

阪神淡路大震災で死亡した方の約4分の3は、倒壊した家屋による圧死・窒息によるものと言われています。
連休明けの早朝、自宅で就寝中だった多くの方が犠牲となってしまいました。

被害のあった家屋は、全壊が約10万5千棟、半壊が約14万4千棟に達し、
戦前より建てられた木造住宅だけでなく、新築の家屋でも
1階部分が完全に倒壊してしまった例があったそうです。

また、地震により293件の火災が発生しました。
焼損面積が80万平方メートルを超え、800名を超える方が犠牲となりました。

家屋の倒壊や家具の転倒により、ガス管や電気配線が破損したり、
ストーブなどの暖房器具に可燃物が接触する事により火災が発生するケースや、
地震による停電が復旧した際、スイッチがついたままの電化製品が通電状態となり、
発生する通電火災も多かったようです。

震災当時の地震保険について

地震で被害にあった家屋や家財を補償する地震保険、
阪神淡路大震災発生時の地震保険の加入状況や支払い状況は以下の通りです。

「当時の地震保険の普及状況は地震保険制度創設以来の最低水準でした。
1994 年 3 月末時点で地震保険の世帯加入率は全国平均 7.0%、
さらに兵庫県の世帯加入率は全国平均を大きく下回る 2.9%という状況でした。
このような状況の中、地震保険では 783 億円の保険金をお支払いしました。
今回、開示しました建物・家財別でのデータ集計では、建物は支払件数 41,459 件、
615 億円、家財は支払件数 39,879 件、167 億円の保険金の支払い状況となっています。
(引用元:日本地震再保険株式会社 阪神・淡路大震災から 26 年 ~地震保険での建物・家財別の再保険金支払状況をデータ開示~)」

上記のデータから解るように、被災世帯の多くが地震保険に加入しておらず、
住居を奪われた被災者の多くは、避難所から仮設住宅へ移り住む事を余儀なくされました。
仮設住宅は兵庫県外を含めると最大時63ヶ所、48,300戸に約9万人の被災者が居住する事となりました。

●地震保険について

火災保険では、建物・家財の火災による損害などを補償しています。
しかし、地震による火災および倒壊などは、火災保険では補償されません。
したがって、地震による損害に備えるには地震保険が必要です。

地震保険では、地震、噴火またはこれらによる津波を
原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金をお支払いします。

地震保険は、単独では加入頂く事が出来ず、火災保険にセットして加入する必要があります。
現在加入されている火災保険に地震保険をセットしていない場合は、
火災保険の契約期間中でも途中から地震保険に加入することができます。

また、地震保険は火災保険と異なり、「地震保険法」に基づいて、政府と各損害保険会社が共同で運営している事から、どこの保険会社で加入頂いても、補償内容や保険料は変わりません。

地震保険の仕組み

お客様のお住まいと家財道具に対して、火災保険で設定頂いた
保険金額の30%~50%の範囲で任意に保険金額を設定する事が可能です。

支払方法も火災保険と異なり、一部損・小半損・大半損・全損の4つの区分で分けられた
被害の程度によって保険金が支払われます。

ですので、建物が全壊しても、全く同じお家を建てる事は残念ながら出来ません。

このあたりを取り上げて「地震保険に加入する意味がない」と仰る住宅メーカーの方やFPの方がいらっしゃいますが、
個人的には住宅ローンを二重に抱えるリスクや被災後の生活の中で貯蓄がじりじり減っていく事の方が怖いと感じます。
いくら耐震性能が良くなったとは言え、地震大国日本において、用心はしてもし過ぎる事はないと思います。

一部の保険会社では、残りの50%を追加で補償する保険商品も存在致します。
保険料は高額にはなってしまいますが、建物の再建だけでなく、生活の再建にもお金が必要になる
震災後の生活の中での精神的、肉体的、経済的なダメージを考えると、
平時、健やかな生活の中でリスクに備えを持つ事が非常に大切なのではないでしょうか。

地震保険の総支払限度額

地震は広大な範囲に甚大な損害を与える、恐ろしい自然災害です。
地震保険に加入していたとしても、本当にそんな大規模な損害に保険金が支払えるのか?
とお客様にご質問頂く事がございます。

地震保険の支払いに担保されている、政府と保険会社の責任額を合計すると、
1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円です。
総支払限度額は、明治以降最大の震災とされる関東大震災(1923年)と
同等規模の巨大地震が発生した場合であっても対応可能な範囲とされておりますので、
まずもって補償が受けられないという事はないと考えられています。

年末調整の控除対象となります。

地震保険は住民税・所得税の控除対象となります。

地震保険の払込保険料に応じて、一定の額がその年の契約者(保険料負担者)の課税所得から差し引かれ、税負担が軽減されます。
保険契約者ご自身、もしくは保険契約者と生計を共にする配偶者・その他の親族が所有し、常時住居として使用される建物またはこれらの方が所有する家財を保険の対象とする地震保険契約が、地震保険料控除の対象となります。

保険以外の救済措置

家屋が壊れてしまい、修復、ないしは新たな場所で仮住まいをする場合、
国から被災者生活支援金が最大300万円受けとる事が出来ます。
東日本大震災では災害弔慰金と言って、生計維持者が死亡した場合は500万円以下、
その他の方が死亡した場合で250万円以下が支給されています。
公的保障は都度変わる事があるので、もし災害で被害を受けられた場合は
しっかりとアンテナを張っておく事が必要です。

ですが、上記の通り、国や地方自治体からの支援金はごくわずか。
ご自宅を失ってしまった時、もし運よく親族の家に仮住まい出来たり、
仮設住宅に入居出来たとしてもいずれは出ていかなくてはなりません。
結局は自分自身で復旧するしか方法はなく、やはり生活再建には地震保険が重要だと私は考えます。

●さいごに

震災当時、私はまだ小学生で、週に3回阪急西宮北口駅まで塾に通っておりました。
幸いにも実家は外壁にヒビが入った程度で、生活に大きな支障はありませんでしたが、
電車から見える阪急沿線の景色が大きく変わってしまった事は子供心に大きなショックでした。
塾帰りに友達と行った西宮の商店街がぺしゃんこに潰れていたのは本当に悲しかった。

ですが、線路が落ちたりしたにも関わらず、たった5ヶ月で神戸線を復旧させた阪急電鉄や、
壊滅的な被害を受けた西宮北口の商店街跡地に出来たポンテリカ北口(後のアクタ西宮)、
オリックスブルーウェーブが、がんばろうKOBEをスローガンにリーグ優勝したりと、
復興に向ける大人のパワーがすさまじかった事も覚えています。

人々の営みをいとも簡単に壊してしまう自然災害、その復旧には大変な労力とお金と時間がかかります。
確か、阪急塚口~武庫之荘間でずっと1階がぺしゃんこになって車が下敷きになったマンションが解体されたのは中学生の頃でしたし、ポンテリカ北口がアクタ西宮になった時は高校生でした。

そんな私も成人して早幾年。今はもう当時の詳細なディティールは忘れてしまって、
震災の名残もメモリアルパーク等でしか見る事がなくなりましたが、それだけ復興したという事実を嬉ぶと同時に、大人になった私に出来るのは、こうやって啓蒙活動をする事なのかもなと感じております。
是非今一度、皆様におかれましては年に一度のこの日に、防災や地震対策に目を向けて頂ければ幸いです。

最後に、阪神大震災で亡くなられた6434人の方のご冥福をお祈り致します。


リンク:電鉄倶楽部 震災の街を駆けた電車たち

リンク:震災記録写真(大木本美通撮影) 阪急西宮北口駅北東に仮設集合店舗「ポンテリカ」(名前は「仮店舗」の逆)がオープン、100人によるテープカット

リンク:西宮市「震災写真情報館」