火災保険・地震保険の請求代行業者について【注意喚起】
台風や火災の増加する秋から冬にかけて多くなる、保険金請求代行業者とのトラブルについてご案内致します。
自然災害の増加に便乗し、ネット広告や訪問販売にて、「火災保険を使って、タダで家の修理ができる」「お客様に代わって保険金の申請をサポートする」等と言って、火災保険申請代行契約や住宅のリフォーム工事契約を結ばせた後、高額な請求をするトラブルが増加しています。
本記事では、トラブルの事例や、対処方法についてご紹介します。
目次
火災保険・地震保険の請求代行業者って?
ここ数年「火災保険は使わないとソン!」「地震保険の請求が可能か無料で診断します!」
「給付金の裏ワザ」「実質0円でリフォーム可能!」といった、
ネットの広告がyoutubeやSNSで増加しております。
これらの業者が提供しているサービスは
・業者が無料で自宅を調査
・お客様に代わって保険金請求の代行(書類の作成等)
・お客様が受け取った保険金の3~4割程度
(リフォームを業者で行う場合は1~1.5割)を成功報酬として受け取る
というものです。
これだけ聞くと、
「業者に面倒な手続きを丸投げ出来るからラクじゃないの?」
「専門業者がタダで診てくれるのに何がダメなの?」
と思われる方もおられるかもしれませんが、それが業者の狙いなんです…
次項より、保険金請求代行業者とのトラブル事例や対策についてご案内致します。
請求代行業者の手口ってどんなの?
大体が訪問や電話、チラシのポスティングによる勧誘等が挙げられます。
インターネットで大々的に宣伝を打ったり、ホームページで大々的に宣伝しているケースも多くあります。
こういった業者のおおよその手順は以下の通りです。
代行業者、ないしは工事・リフォーム業者がお客様のご自宅にお伺いする
▼
お住まいの状況確認を行い、事故状況の写真撮影や工事の見積書を作成
▼
お客様に保険会社への事故受付を依頼し、保険会社より届いた請求書類への記載方法をレクチャー
▼
保険金が支払われたら、手数料をお客様に請求
という恰好です。
中には「残った保険金の使い道は自由!車を買ったり旅行に行けますよ!」
という誘い文句で客寄せを行う業者もございます。
請求代行業者の種類について
全ての業者が同じ手順という訳でなく、大きく分けて2種類の業者が存在し、
それぞれにやり口が異なります。
①工事受注型
工務店やリフォーム業者が工事発注を条件に保険金請求を代行するパターンです。
支払われた保険金で修繕を行うので、契約者の金銭負担が無く修繕出来る事を売り文句としています。
業者は顧客からの値引き交渉や同業者との価格競争を避け、顧客の囲い込みが行えるので、
このタイプが業界の走りとなりました。
②代行業者の成果報酬型
リフォーム工事は受注しませんが、支払われた保険金の30~40%程度を成功報酬として請求します。
保険金請求のプロのノウハウで、見逃してしまいそうな箇所も漏らさず請求が出来、否認や減額のリスクを避ける事が出来る等と謳っています。中にはリフォーム業者と提携していて、工事契約を斡旋するケースもあります。
請求代行業者とのトラブル事例ってどんなの?
・保険金請求の為の調査と称し、お客様が見ていない所で業者が建物を故意に破損させた事例
・写真を加工して、あたかも損傷があるかのように見せかけていた事例
・経年劣化による損傷にも関わらず自然災害による事故として保険金請求をお客様に勧める事例
・高齢者宅で長時間居座り、強引に契約させようとする事例
・修理工事契約を解約しようとした所、お客様が受け取った保険金の数十%という
高額な解約料を請求された事例
・代金として保険金の全額を支払ったが修理工事が着工されなかった事例
・保険請求手続きを代行するとして、高額なコンサルティング料を請求された事例
・業者に保険請求手続きを任せていたら、勝手に保険金の振込先を業者に指定され、
保険金が支払われた後、業者と連絡がつかなくなってしまった事例
等が挙げられます。
次項ではトラブルの具体例をご説明致します。
引用元:独立行政法人国民生活センター 記事内より抜粋して再構築
実質0円リフォームの裏側
例として「得られた保険金をもとに修理を行うので、約○○%の確率で0円リフォームが可能!」と謳う工事受注タイプの業者のやり口を紹介します。
仮に、屋根の修繕に100万円かかる。という見積りで保険金請求を行った時に、
保険金請求代行業者の成功報酬を、リフォームとセットした業界最安値の10%と設定すると、
満額認定時の請求代行業者の成功報酬は10%の10万円となります。
差し引きすると90万円がリフォームの代金という事になります。
「火災保険の損害保険金の使い道は自由」というのを口実に、90万円でリフォームを行うという訳ですが、本来100万円の修理見積を出しておきながら90万円でリフォームが出来るという事がどういう事なのか、一度想像してみて頂けたらと思います。
保険金が満額支払われない時はどうなるの?
保険会社はあくまで保険約款に照らして、保険金支払いの有無を決定しますから、
業者が出した見積りに対して、否認するケースも勿論存在します。
仮に、先ほどのケース同様、屋根の修繕に100万円かかる。という見積りで保険金請求を行った時に、一部の損害が経年劣化として認定されず、70万円が支払われた場合、
保険金請求代行業者の成功報酬を、リフォーム工事とセットした業界最安値の10%と設定すると
保険金70万円に対し、成功報酬が7万円。お客様が実際に受け取る保険金は63万円となります。
したがって100万円の修理費の内、37万円はお客様の実費負担となります。
実質0円と聞いていたのに!と思っても、既に業者によって修繕されてしまっていれば
泣き寝入りするしかありません。
もし仮に、修繕前だったとしても「自己負担が発生するなら、工事をキャンセルしたい」
と伝えた所、高額な違約金が発生したというケースもございます。
上記の様な例は業者の謳う「業界最安値」の成功報酬のパーセンテージで試算しておりますから、
これが成果報酬型の30~45%程度の成功報酬を差し引かれた場合を想定すると、結果はもっと悲惨な事になります。
仮に30%とすると、成功報酬は21万円となり、お客様の手残りは49万円。自己負担額は実に51万円です。
一体なんの為に請求したのか解りませんよね?
リンク|消費者庁:保険金申請代行業務や住宅修繕を行う5事業者に対する行政指導について
甘い誘い文句には気を付けましょう!
業者の多くは「保険会社から支払われる保険金が減額されない為のノウハウがあるから大丈夫」
「取り扱い件数〇〇〇〇件の実績!」等と、さも保険に精通しているかの様な口ぶりですが、
多くの場合、保険を取り扱う資格等を持っている訳ではないそうです。
また、事務所が東京や大阪の一等地にあったり、全国に支社があるからとて安心出来ません。
バーチャルオフィスという事業用の住所を貸し出すサービスを利用すれば、安価で全国に実態のない事業所を用意する事が可能です。
したがって、ホームページで記載されている事業所の数が、その会社のスケールを表している訳ですらないのです。
一部では、有名タレントを利用した広告や、弁護士によるリーガルチェックを行っている等の文言でお客様を安心させる手口もございますので、お客様にはくれぐれもご注意頂きたいと思います。
火災保険申請代行業者と火災保険申請サポート業者の違い
「火災保険申請代行は違法!」「悪徳業者にご注意!」と謳うブログコンテンツを作成しているのが、そもそも火災保険申請を生業とする業者です。
これらの業者が一体何を言いたいのかというと、
「火災保険申請代行」は弁護士法に抵触するので違法だが、
「火災保険申請サポート」は資格が不要なので適法だ。という事です。
火災保険申請の「代行」は保険金請求書類の記入等の行為が含まれています。
したがって、保険契約者の代理人として請求を行う必要がある為、弁護士でないと行う事が出来ません。
しかし「サポート」であれば「申請の為の調査を行ない、見積書や損害写真といった請求書類を代理で作成する」事は、なんの資格が無くても行う事が出来るので合法である。というのが業者の言い分です。
とはいえ「サポート」だから「安心」という訳ではありません。
知らないうちに、保険金詐欺に加担してしまうケースも?!
更に怖いのは悪質な業者が、お客様が普段見る事の出来ない屋根等をわざと壊してまで請求したりするケースです。
「隣の家の屋根を修繕しに来たが、お宅の屋根も破損しているので修理しないといけません」といった手口で家に入り、
壊れていない屋根をわざと壊して請求したようなケースも報告されているようです。
上記の手口は完全に保険金詐欺ですが、もし仮に保険金請求代行業者が言うような
「素人が請求したら認められない」ような事故を支払えるように出来るスキルがあるのだとすれば、事実と違う申告や、イリーガルな仕掛けを施している以外に説明がつきません。
これらの行為を使って請求を行い、保険会社から契約の解除を行われたり、
詐欺罪で訴訟を起こされたりしたとしても、保険会社請求代行業者は
「あくまで保険金請求の【サポート】を行っているだけ。」
「実際に請求したのは、火災保険に契約しているお客様です。」という逃げ口上で、
知らない間にお客様ご自身が、保険金詐欺に加担し、不利益を被る事になってしまうかもしれません。
もしも、契約してしまったら
既にそういった業者と契約をしてしまったお客様につきましては、
訪問販売や電話勧誘販売で契約を行った場合、8日間はクーリング・オフが可能です。
更に法定の書面(契約書類等)が渡されていない場合等には、8日間を過ぎてもクーリング・オフできる場合もございます。
契約書面を根拠に高額な解約料を請求された場合には、消費者契約法上の不当条項にあたる可能性もございますので、
少しでも不安や疑問を感じた場合は、独立行政法人 消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談くださいませ。
下記リンク先に手口を解りやすく紹介した動画もございますので、是非一度視聴してみてくださいね。
リンク|一般社団法人日本損害保険協会:住宅の修理などに関するトラブルにご注意
保険代理店にご相談ください
保険金請求サポート業者は違法ではありません。
資格の不要な簡単な仕事で高額な報酬を得ようとするので、トラブルになり易いだけなのです。
業者は保険金請求は素人には難しいと声高に訴求していますが、リフォーム業者に見積りを作って貰って書類を書いて送るだけなので、
お客様にとって多少面倒というだけで、高額な手数料を払ってまで他人に依頼する程に大変な作業ではありません。
保険事故が発生し、損害があれば、当然保険会社は保険金をお支払います。
保険金サポート業者が存在しなかった時代にお家が燃えたりした方が保険金を受け取る事が出来なかったなんて話は聞いた事がありません。
そもそも保険金はお客様が受け取り、損害というマイナスを元通りにする為のものでございます。
もちろん保険金の使い道はお客様がお決めになる事ではありますが、基本的にはお家を元に戻す為のお金のハズ。
保険会社が、保険金請求代行業者への成功報酬分をプラスして保険金支払いをする訳ではありませんので、保険金請求代行業者への支払いが発生するイコール「お客様のお家が満足に改修出来ない」事に他なりません。
「自然災害でお困りのお客様を助ける」「本来受け取るべき保険金を受け取られていないお客様をなくす」等と言いながら、お客様が受け取るべき保険金に平気で手を付ける業者に対して、強い腹立たしさがありますが、このような注意喚起で少しでも多くのお客様が被害を受けられない事を望むばかりです。
私が見た業者のホームページには「悪徳業者の手口を知って、信頼できる業者を探しましょう」と記載されておりましたが、私からすれば信頼出来る業者を探す必要などありません、保険代理店はその為に存在しています。
私たちシールドは、保険代理店として当たり前に、無償でお客様の保険金請求を行っております。
私たちがお預かりした保険の保全業務として当然の事で、保険金請求はお客様にとっても難しい手続きではございません。
保険でのお困りごとがございましたら、どの様な些細な事でもお気軽にご相談ください。